【書評】「インフラ設計のセオリー」新人インフラエンジニアが押さえておくべき内容が詰まった一冊
「難しい本ばっかり読んで眠くなってませんか?いい本ありますよ!」
ご機嫌いかがでしょうか、豊崎です。
育成チームのリーダーを行なっている都合から、エントリー向けのインフラエンジニアの書籍を読むことが多くなっています。本日は、その中で読んだ、「インフラ設計のセオリー」という本についてご紹介させていただきます。
基本的にはIPAの非機能要求グレードに沿って特に重要な項目を説明していく内容になっています。
インフラエンジニアを始めるときに、教科書として読んでおけば 成長曲線が変わったんじゃないかな? と感じました。それくらい基礎的な知識の習得とイメージ付けには最適だと思います。
具体的には、非常に有益なドキュメントではあるものの、圧倒的な文章量で睡魔を送り込んでくる非機能要求グレードの活用について図や絵を多く交えて非常に理解しやすい文章で説明をしてくれます。
内容はしっかりしているのに、とても読みやすくサラリと読破できると感じました。
「インフラ設計のセオリー」について
著者
JIEC 基盤エンジニアリング事業部 インフラ設計研究チーム 中村圭吾 吉田武未 中西秀徳(敬称略)
目次
- 序章 システムインフラについて
- 第1章 インフラ構築の流れ(設計の前にⅠ)
- 第2章 インフラの要件定義と非機能要求(設計の前にⅡ)
- 第3章 要件定義から設計へ
- 第4章 可用性設計のセオリー
- 第5章 性能・拡張性設計のセオリー
- 第6章 運用・保守性設計のセオリー
- 第7章 セキュリティ設計のセオリー
- 付録 商用システムにおけるシステム構成の変遷
序章 システムインフラについて
実際の生活の中のインフラについて紹介し、システムインフラの説明につなげていきます。肩慣らしの章です。
第1章 インフラ構築の流れ(設計の前にⅠ)
ここでは実際のプロジェクトにおける全体的な流れ(ウォーターフォール)を説明しています。まずは俯瞰でプロジェクト全体を認識させてくれます。
第2章 インフラの要件定義と非機能要求(設計の前にⅡ)
ここからIPAの非機能要求グレードを利用した非機能要件の確認についての内容がスタートします。人によって感じ方は異なるかもしれませんが、私個人としてはこの章の内容が過不足なくわかりやすいものになっているので、3章以降の具体的な内容が理解しやすくなっていると感じました。
- 1) 可用性
- 2) 性能・拡張性
- 3) 運用・保守性
- 4) 移行性
- 5) セキュリティ
- 6) 環境・エコロジー
第3章 要件定義から設計へ
次に設計とは何か?について説明がされてます。要件定義で決まった仕様をどのように実現するか?が設計であるという説明がされます。
第4〜7章
ここからがこの本の真骨頂。各設計を行うに当たって具体例がしっかり説明されていて、どのプロジェクトにおいても適用できるであろう考え方の基礎が身につきます。
- 第4章 可用性設計のセオリー
- SPOFと冗長化について
- 第5章 性能・拡張性設計のセオリー
- CPU・メモリの選定
- メモリの設定
- 拡張性について
- 第6章 運用・保守性設計のセオリー
- システムの運用時間・停止時間
- バックアップとバックアップが必要になるケースについて
- 第7章 セキュリティ設計のセオリー
- IDと認証
- 暗号化に関する対策
- 通信制御
- 監視・監査について
- セキュリテイリスク管理
- ウィルス・マルウェア対策
付録 商用システムにおけるシステム構成の変遷
「コンピュータシステムは集中と分散を繰り返す」について1990年代から現在にかけての推移と歴史がまとまっていて面白いです。
感想
内容としてはオンプレミスでの基礎的なインフラ設計について書かれています。しかしながら、AWSなどのクラウドで設計をする際にも十分に活用できる考え方の基礎が散りばめられていて非常に良い本だと感じました。新人インフラエンジニアに最適な一冊です!!(ちなみに知識の整理や、振り返りにもいい本だと思います。)